高齢者

アラキドン酸とβ酸化

まずは今回のお題目である「アラキドン酸とβ酸化」という一節を目にされた時点で、既に腰が退けてしまわれた方もおられるかと思われます。 それも当然だと明言させていただきます。
そこで今回も一般の皆さんにご理解いただくべく、比喩表現などを用いて補足解説に挑みたいと思います。

先ずは専門的に補足しますと、この「β酸化」とは、脂肪酸を構成する炭素を2つずつ切り出す事でアセチルCoAを生成する過程を指す言葉です。
早くも難解になってしまいました。

脂肪酸など化学物質は複数の成分が時にシンプルに、あるいは複雑に連鎖する形で形成されています。
脂肪酸はこのうち前者に属する比較的シンプルな構造の物質が大変です。 直前でジグザグに繋がった直線の角に化学物質名が記された化学式をご記憶の方もおられるかと思います。
あの図式から炭素の部分を合計4つ切り取り除く事で、アセチルCoAなる新たな物質の化学式が出来上がる。 そんな変化を思い浮かべて頂ければ十分です。

次にアラキドン酸に関してですが、これはリノール酸から合成可能な脂肪酸です。
ですがこのリノール酸は別の物質の1つであるオレイン酸からダイレクトに合成は出来ません。
そこで遠回りの手順を踏む要領で、先ずはオレイン酸からアラキドン酸を合成しする流れを踏む事です。 異なる3つの物質が連鎖的に変化発生する環境を整える手法の選択が可能なのです。
蝶に例えるなら、いわゆる幼虫(毛虫)から蛹(さなぎ)を経て初めて成虫の蝶の姿となれる訳です。 幼虫からいきなり蝶にはなれない「一方通行の段階」が存在しています。
これを脂肪酸の物質生成に置き替える事で、漠然とイメージ出来るかと思います。

もっとも私達の日常生活上「これをβ酸化させて」などの会話が交わされる場面は、まず見当たりません。
そんな稀有な現象が私達の体内で日常的に無意識の中繰り返されているからこそ、生命は神秘的だと誰もが声を揃えるのでしょう。